消防用手袋の2022年ガイドラインとは?対応モデルの選び方

消防用手袋の2022年ガイドラインとは?対応モデルの選び方

消防用手袋の更新時期に、「2022年ガイドライン対応と書かれているが、以前のものと何がどう違うのか」と迷っていませんか。結論から言うと、防火手袋にとって2022年改定の中心は「防水」です。この記事では、何が変わったのかを試験基準とあわせて整理し、対応モデルの選び方までまとめます。

消防用手袋の2022年ガイドラインとは?

消防用手袋の2022年ガイドラインとは?

消防用手袋の2022年ガイドラインとは、消防庁が定める「消防隊員用個人防火装備に係るガイドライン(令和4年3月改定)」を指します。屋内進入する消防隊員が安全に消火活動を行えるよう、防火手袋を含む個人防火装備に求められる性能・試験方法・取扱いを示した指針です。
国際規格ISO 11999-4などを基礎に、平成29年(2017年)3月版を経て令和4年(2022年)3月に改定されました。法令ではなく、各消防本部が地域特性や消防戦術を踏まえて装備の仕様を検討するための基準という位置づけです。

2011年・2017年版から何が変わった?

2011年・2017年のガイドラインから変わったこと

防火手袋に関する最大の変更点は、「手袋完成品漏水試験」の追加です。手袋は使用中の動きが激しいため、部材だけでなく完成体で漏水を試験する項目を追加した、とガイドライン本文にも説明されています。

  • 完成品漏水試験の追加:生地や縫い目の単体ではなく、縫い上げた完成品の状態で浸水を確認する項目が新設されました
  • 主な基準値は同水準:突刺し・切創・引裂・熱伝達などの合否基準値は、前回版(平成29年3月)と同じ水準です(試験規格の版や前処理の記述は更新されています)

ガイドラインは、手袋が濡れて重くなること、熱水がしみこめば熱傷につながることを、耐水性能を求める理由に挙げています。つまり2022年対応モデルは、完成品の状態で水の浸入を確認する前提で設計された防水グローブです。耐炎・耐熱や機械的強度の要求は残したうえで、防水の確認が製品全体へ広がった改定といえます。

ガイドライン対応の消防用手袋に求められる試験基準は?

ガイドライン対応の消防用手袋に求められる試験基準は?

対応の防火手袋には、耐炎・耐熱、機械的強度、耐水、人間工学の各分野で合否基準が定められています。手掌側・手背側・指先で素材構成が異なる場合は部位ごとに試験し、すべてで基準を満たす必要があります。すべてを読み込む必要はありません。装備の仕様検討に使う数値として、主な項目をまとめています。

試験項目何を確かめる試験か主な合否基準値
熱伝達性(火炎ばく露)炎に直接あぶられたとき、手に熱が伝わるまでの時間13秒以上(HTI24)
熱伝達性(放射熱ばく露)熱源のそばにいるとき、手に熱が伝わるまでの時間20秒以上(RHTI24)
突刺し抵抗尖ったものが生地を貫くまでに必要な力60N以上(濡れた状態で試験)
切創抵抗鋭利なものに対する生地の切れにくさ5N以上(カフスは7N以上)
引裂抵抗表地の裂けにくさ25N以上
耐水性(防水層と接合部)防水層と縫い目が水圧に耐えられるか20kPa・5分で水滴が生じないこと
手袋完成品漏水試験縫い上げた手袋の状態で、内側まで水が届かないか浸水がないこと(2022年で新設)
手先器用さ手袋をつけたまま細かい作業ができるか(5段階評価)レベル3以上
把持(グリップ)性素手と比べてどれだけ強く引けるか素手比80%以上

この中で2022年に新しく加わったのは、下から3行目の「手袋完成品漏水試験」の1項目だけです。

参考資料

「消防隊員用個人防火装備に係るガイドライン」(消防庁)
(https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-104/04/r4_guideline.pdf)
第4章第3「防火手袋に求められる性能等」をもとに株式会社ダイコープロダクト作成

新しく加わった「手袋完成品漏水試験」とは?

実際に手袋を着けて水に浸し、内側まで水が届かないかを確かめる試験です。浸水を検出するインナーグローブの上から手袋を装着し、20±3℃の水に、指先から手袋上部25mm以内までを5分間浸します。その間、10秒ごとに握りこぶしを握って手袋を曲げます。

判定は厳しく、試験後のインナーグローブに水の跡(ウォーターマーク)が見られれば、すべて浸水とみなされます。

縫い目からの水の浸入はどう防ぐ?

OutDry(アウトドライ)の防水技術を採用したオレンジ色の作業用グローブを水中に浸している様子

完成品で水を止めるうえで壁になるのが、縫い目です。ガイドラインも、手袋は縫製部位が狭くて細かいうえ手の動きが活発で、生地や接合部にかかる負担が大きいことを、完成品での試験が必要な理由に挙げています。生地そのものが防水でも、縫い針が通った箇所から水が入り込む余地が残るためです。

この縫い目対策のひとつが、BULLRESCUEを展開する株式会社ダイコープロダクトが採用するOutDry®です。縫製したあとの表地裏面に透湿防水フィルムを全面圧着する加工技術で、生地とフィルムの間に隙間を作らない構造になっています。同社は日本で唯一OutDry®の使用許諾を受けたメーカーです。詳しい仕組みは「究極の防水「OutDry®」とは?日本唯一の消防グローブ技術」もあわせてご覧ください。

2022年ガイドライン対応のおすすめモデルは?

2022年ガイドライン対応のおすすめモデルは?

BULLRESCUEの2022年ガイドライン対応モデルは、DK-779・DK-777・DK-775の3型番です。いずれも屋内進入を想定した防火・防水の設計で、日本産の素材を多く使用しています。

最上位の防水防火グローブ|DK-779

3型番の最上位モデルです。掌側にBULLRESCUEオリジナルの「アラミドシリコーン」を採用し、防火・防水・操作性をバランスさせています。

  • アラミドシリコーン:パラ系アラミド繊維のニットに全面シリコーン樹脂をコーティング。直接炎が当たっても溶融せず、切れにくさと滑り止め効果を兼ねます
  • OutDry®の防水:表地と裏地の間に透湿防水フィルムを挟み、外からの水を止めながら内側の汗の水蒸気を逃がします
  • 乾きやすい裏地:手に触れる面は、熱が伝わりにくいポリエステルパイル
  • 国産素材:表地のケブラー®ニットは日本産、裏地のポリエステルパイルは栃木県足利市産です
  • サイズ:S・M・L・LL・3L
  • カラー:ブラック
試験項目試験内容DK-779ガイドライン基準
寸法変形率(タテ)洗濯処理としてタンブル乾燥5回後1.2%5%以下
寸法変形率(ヨコ)洗濯処理としてタンブル乾燥5回後0.0%5%以下
熱伝達性(火炎ばく露)約1000℃の炎を直接生地にあてて、生地の表面温度が24℃上昇に達する時間26秒13秒以上
熱伝達性(放射熱ばく露)火災現場を想定した強い熱源を生地に放射し、生地の表面温度が24℃上昇に達する時間34.1秒20秒以上
グリップ力湿潤状態での動作実施81%80%以上
器用性洗濯処理をした後の完成品で動作実施Level4Level3以上

試験方法はガイドラインに沿った試験方法です。カケンテストセンターにて実施。

こんな人におすすめ

過酷な現場への進入が多く、装備は性能を最優先で選びたい消防署職員・救助隊員の方に。ガイドラインの基準値に対して余裕のある試験結果が公表されているため、仕様検討の根拠を示しやすい一双です。

OutDry®防水と牛革補強のバランス型|DK-777

防水はDK-779と同じOutDry®を採用しつつ、傷みやすい部分を牛革で補強したモデルです。

  • 牛革補強:0.7〜0.8mm厚の牛革で、破れやすい指先と甲を保護
  • ケブラー®糸で縫製:縫い糸まで難燃素材で統一しています
  • 空気層のある裏地:綿100%のダンボールニットが肌当たりをやわらげます
  • 国産素材:・国産素材:表地のケブラー®ニットは日本産、補強の牛革は兵庫県産、裏地の綿は和歌山県和歌山市産です
  • サイズ:S・M・L・LL・3L
  • カラー:オレンジ・ネイビー

こんな人におすすめ

防水はOutDry®のまま、掌や指先の当たりを牛革の耐久性でカバーしたい方におすすめです。

廉価タイプの2022ガイドライン対応|DK-775

BULLRESCUE DK-775 レスキュー用手袋

価格を抑えた2022年ガイドライン対応モデルです。防水はOutDry®ではなく、中間層に挟むサイトストPU透湿防水フィルムを採用しています。

  • 掌部は2重構造:ケブラーニットと牛革の2重構造により耐久性を確保
  • ナックル保護:拳が当たる部分に2mm厚のケブラー®フェルトを挟み込み
  • 縫い目のない指先:フィンガートップ・ロールオーバーガード製法で、指先の破れとゴロつきを抑えます
  • 国産素材:表地のケブラー®ニットは日本産、掌部の牛革は兵庫県産です
  • サイズ:S・M・L・LL・3L
  • カラー:ネイビー・オレンジ

こんな人におすすめ

分団や係単位でまとめて更新する装備担当の方に。2022年ガイドライン対応と防水を確保しながら、導入費用を抑えたい場面に向きます。

3型番はどう違う?比較表

3型番の違いは、ほぼ「防水の作り方」と「補強素材」に集約されます。

型番防水の作り方主な補強素材裏地位置付け
DK-779OutDry®PU透湿防水フィルム(縫製後に全面圧着)アラミド繊維×シリコーンポリエステル100%最上位
DK-777OutDry®PU透湿防水フィルム(縫製後に全面圧着)牛革0.7〜0.8mm厚(兵庫県産)綿100%ダンボールニットバランス型
DK-775サイトストPU透湿防水フィルム(中間層)牛革C級レザー0.7〜0.8mm厚(二重)綿100%廉価タイプ

防水の作り方を優先するならDK-779かDK-777、掌や指先の当たりに牛革の耐久性を求めるならDK-777、費用を優先するならDK-775、という順で見ていくと絞り込みやすくなります。

まとめ

  • 2022年ガイドラインで防火手袋に加わった中心的な変更は、完成品の状態で浸水を確認する「手袋完成品漏水試験」の新設です。
  • そのためBULLRESCUEの対応モデルは、生地だけでなく縫い目まで含めて防水を作り込む前提で設計されています。
  • 選ぶ際は「防水の作り方」と「補強素材」の2点を確認すると、3型番の違いを判断しやすくなります。

ガイドラインの中身を押さえたうえで、現場の使い方に合う一双をぜひ選んでみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q
消防用手袋の2022年ガイドラインに法的な強制力はありますか?
A

法令ではなく、安全上必要と考えられる一定の性能を示した指針です。各消防本部が装備の仕様を検討する際の基準として用いられます。

Q
 2022年ガイドラインで消防用手袋は何が変わったのですか?
A

手袋完成品漏水試験が新たに追加されました。実際に手袋を着けて20±3℃の水に5分間浸し、10秒ごとに握りこぶしを握って浸水がないかを確認する試験です。突刺し60N以上などの主な合否基準値は、前回版と同じ水準です。

Q
以前のガイドライン対応の手袋はもう使えないのですか?
A

2022年版は主な要求値を変えず、防水の確認方法を製品全体へ広げた改定です。更新時期や各消防本部の方針に応じて切り替えを検討するのが現実的です。裂け・擦り・穴あき・過度の汚れがある場合は防護性能が低下しているおそれがあるため、点検のうえ判断してください。

参考資料

「消防隊員用個人防火装備に係るガイドライン」(令和4年3月改定)(消防庁)

https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-104/04/r4_guideline.pdf